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環境に配慮したインキとは?環境問題への取り組み

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インキは印刷に欠かせない重要な要素の一つですが、製造から印刷、廃棄に至るまで、そのライフサイクルにおいて環境を汚染する可能性があります。特に油性インキに含まれるVOC(揮発性有機化合物)は常温でも直接人体に影響を与える恐れがあることから、各インキメーカーはこうした有害物質を減らす努力をしています。

VOCの揮発をなくしたインキや、石油系溶剤を減らし植物由来の成分を使用するベジタブルインキなど、環境に配慮したインキ開発にインキメーカーは日々取り組んでいます。

本記事では、オフセット印刷に使われる環境へ配慮したインキをご紹介します。環境対応を求められる印刷物の製作にご活用ください。

 

そもそも印刷インキとは?

弊社では化粧箱を印刷する際にオフセット印刷機を利用しますが、印刷インキは大きく分けて3つの要素で成り立っています。主材である着色剤(顔料や染料)とワニス(ビヒクル)、これに若干の添加剤(補助剤)を加えた構成です。

「着色剤」は色の再現に重要な役割を果たし、「ワニス」は油脂類、天然樹脂、合成樹脂などを溶剤などに溶かしたもので、着色剤を分散または溶解し、印刷素材に転移、固着させる働きをします。「添加剤」は乾燥性や流動性などいわゆる印刷適正や印刷効果を調整する機能を持っています。

これらの原料は天然物から石油化学製品に至る多種多様な化学物質で、用途適正に応じて使い分けられています。

 

印刷インキにおける環境負荷とは?

それでは、インキのどのような点が環境負荷に繋がるか確認していきます。

オフセット印刷に使われる油性インキには以下のような問題があります。

・溶剤として使われる鉱物油にVOCが含有されている
・鉱物油に重金属(マンガン、コバルトなど)が含有されている
・樹脂内に環境ホルモンが含有されている

この中でも特にVOCが大気を汚染する物質を含み、吸い込んだ際の頭痛、吐き気、疲労感などの人体への負荷があるとして問題視されています。VOCとは、Volatile Organic Compoundsの略で、揮発性有機化合物と訳されます。

揮発性有機溶剤は、顔料と樹脂を混ぜ合わせる性質に優れ、揮発性も高いので乾燥が早いという利点もあります。一方で環境や人体への負荷がある為、近年できるだけ使用しないことが求められています。

 

環境に配慮したインキ

このような問題を踏まえ、各インキメーカーでは環境に配慮したインキの開発に取り組んでいます。

植物油インキ

 

2008年に、印刷工業連合会がスタートした植物油インキマーク制度は、それまでの大豆油インキ制度と異なり、大豆油以外の他の一般的な植物油や再生植物油等も使用できるように対象範囲が広がりました。

植物油は、石油系の溶剤に比べて生分解性があり、VOCの排出もほとんどなく環境負荷低減に貢献しています。現在ではオフセットインキのほとんどが植物油インキ対応製品となっています。

植物油インキの定義は以下のようになります。

・再生可能な大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油等植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油
・インキ中に含有する植物油、または植物油を原料としたエステルとの合計が、含有基準量以上のインキ【植物油アルキッドについては、油長(植物油成分含有量)とする】

※定義は印刷インキ工業連合会HPより抜粋
※大豆インキ(ソイインキ)マークが環境対応の観点から多く利用されていた時期もありますが、食料である大豆を利用することへの懸念もあり、食料ではない植物油の活用が拡大し、2010年9月をもってソイシール許諾業務は終了し大豆インキは使用されておりません。

 

ライスインキ

2009年にライスインキ・コンソーシアムにより運営が開始された、米ぬか油を利活用したライスインキを使用した印刷物に付与できる環境マークです。

印刷インキに使用される大豆油インキは北米から大豆油を運ぶため輸送マイレージ(CO2排出量)が大きく、また食物を工業製品化する懸念がありました。ライスインキは国産の米ぬかから精油されるため輸送マイレージも低く地産地消に合致しています。

ライスインキマーク制度は、「輸送マイレージの削減」「米という本来の食物の確保」「米ぬかの有効利用」、さらにバイオマスを普及させる制度です。

当該インキで印刷した印刷物にマーク添付が可能です。

 

ノン VOCインキ

ノンVOCインキは構成成分中の高沸点石油系溶剤を植物油等に置き換えて1%未満に抑えたインキです。従来の植物油インキよりもさらに進んだ環境にやさしいインキで、主にオフセット枚葉印刷で使用されます。

ノンVOCマークは管理団体がなく、各インキメーカーが独自にマークを準備しているので使用するインキにより印刷されるマークも変わってきます。

※掲載したマークは東洋インキ株式会社様が利用されているマークです。

 

igマーク(インキグリーンマーク)

印刷インキの環境負荷低減を一層促進させる為に、印刷インキ工業連合会により2015年9月よりインキグリーンマークの表示制度が始まりました。この制度は、環境への影響が少ない原料をインキ中にどれ程用いているかを主眼とし、インキ組成の環境配慮度合いにより3つのランクに振り分けています。

まずはオフセット印刷インキにおいて、生物由来で環境負荷の少ないバイオマス原料の使用割合を指標とした制度の運用を開始しました。現在はインキ製品だけにマーク表示していますが、今後は植物油インキマークと同様に印刷物への表示も可能となるように検討されています。

 

NL規制

NL規制とは、1973年から運営が開始された、印刷インキ工業連合会の自主規制であり、「原則として全てを認可するが禁止するものだけを一覧表とする」規制方法で、安全衛生上人体や環境に有害な恐れがあると考えられている物質をリストアップ(NL:ネガティブリスト)し、その使用を禁止する方法です。印刷インキは様々な用途に、オフセット印刷を含む各種印刷方式で使用され、多岐に渡る機能が要求されるので、多種多様な化学物物質が使用されています。

該当するインキを使用した印刷物にNLマークは掲示できません。印刷会社が購入するインキ缶に「NLマーク」または規制に基づいた製品であると文章にて表示されます。

 

バイオマスマーク

バイオマスインキは、綿、パルプ、米ぬか、植物油、被子植物の種などの生物由来の資源(バイオマス)から成分を抽出して製造したインキです。一般的には「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」をバイオマスと呼びます。

バイオマス成分の含有率(乾燥重量比)10%以上がバイオマスインキとして認定され、一般社団法人日本有機資源協会がバイオマスの含有量だけでなく、環境製品としての安全・安心性も審査によってバイオマスマーク認定を行っています。バイオマスインキは、主にグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷で使用されています。

バイオマスマークは印刷業界固有のマークではなく、生物資源(バイオマス)の割合が「10%以上(乾燥重量)」で、品質及び安全性が、一定の基準を満たしている商品に表示できるマークです。日用品、事務用品、繊維、物流・包装、土木・建築など様々な業界に普及しています。

 

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お問合せは化粧箱屋ドットコムの以下ページより受付けております。お見積り以外にもお尋ねごとがある場合も、どうぞご遠慮なくお問合せください。

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参考資料

◎印刷インキ工業連合会HP

◎東洋インキ株式会社HP

◎『DTP&印刷スーパーしくみ辞典2017』ボーンデジタル

※参考リンク
環境に配慮した紙|エースボールFなどご紹介
「過剰包装」と「過大包装」の違いとは?
FSC® 認証マークについて

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