パッケージ印刷とは?オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷の違い
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目次
パッケージ印刷とは?
パッケージ印刷とは、紙器、軟包装などの包装材への印刷のことです。種類としては、以下のものが挙げられます。
◎化粧箱
◎ダンボール箱
◎軟包装(ラミネート袋、ポリ袋など)
パッケージ印刷の工程
パッケージ印刷の工程は、紙器と軟包装で異なります。
◎化粧箱などの紙器の場合:製版→印刷→表面処理→打ち抜き→糊付け→製函
◎軟包装の場合:製版→印刷→ラミネート→スリッター→製袋
パッケージ印刷の種類
パッケージ印刷は、素材によって印刷方法が変わります。
◎板紙:オフセット印刷
◎ダンボール:フレキソ印刷
◎フィルムは:グラビア印刷
版の形状にそれぞれ特徴があり、それぞれ製造するための設備も違うため、工場もその印刷方式に合わせて設計されます。製版、印刷、打抜き、糊付けなど各工程が分業されている場合も多く、自社だけではなく協力工場と連携しながら仕事を進めています。
地域性も関係しており、当社のある新潟県の県央地域は、「製紙工場が近隣にあること」「地場産業製品の出荷量が多いこと」「関東へのアクセスが良いこと」などの理由により、パッケージ印刷会社が多く、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などの会社が集積しています。競争も激しいですが、横のつながりも強く、良好な協力関係を築きながらよりよい製品づくりに努めています。
化粧箱に適した「オフセット印刷」とは?
オフセット印刷とは、版につけられたインキをブランケットに転写(オフセット)した後、さらに紙に転写(オフセット)される印刷方式です。製版の絵柄が2度反転されるため、版を見ると印刷される絵柄がそのままの向きで見ることができます。
版は、親水層と親油層に分かれています。親油層にインキが乗り、親水層にはインキが乗らないという、水と油が弾き合う作用を利用して印刷されます。とても鮮明な印刷が可能で、大量印刷にも適しています。パッケージ印刷におけるオフセット印刷は、板紙印刷が主流です。
オフセット印刷は、さらに油性印刷とUV印刷に分かれます。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。
油性印刷
メリット:油性の被膜の効果により、刷色が鮮やかに再現される。
デメリット:乾燥に時間がかかる。
UV印刷
メリット:インキがUVランプで瞬時に硬化されるため、すぐに次工程に取り掛かれる。
デメリット:インキが瞬間硬化されるため、レベリング性とグロスが低下する。
適した素材
・洋紙
・板紙
印刷品質は、UV印刷と比べ油性印刷の方が優れているように思われるかもしれませんが、印刷物を並べて比較してみないと分からない程度の差です。
UV印刷は無溶剤のため環境にやさしいと言われていますが、インキやUVランプの価格が高く、消費電力も大きいため一概にそうとはいえません。納期が短く、ロットの大きい仕事が多い印刷会社はUV印刷の方がいいでしょう。
◎オフセット印刷で使用する刷版 | ◎多色オフセット印刷機の上部 |
ダンボール箱に適した「フレキソ印刷」とは?
フレキソ印刷とは、ゴムや樹脂でできた版を用いる印刷方式で、凸版印刷の一種です。
パッケージ印刷におけるフレキソ印刷は、ダンボールや紙袋の印刷が主流です。版と被印刷紙が直接触れるため、版の絵柄が反転しているのが特徴です。フレキソ印刷のメリットとデメリットは以下の通りです。
フレキソ印刷のメリットとデメリット
メリット:オフセット印刷よりコストが安い。
デメリット:緻密な印刷ができない。
デメリット:印刷面積に応じて版代が変わり、全面印刷の場合、高額になる。
適した素材
・ダンボール
・クラフト紙
フレキソ印刷はオフセット印刷よりコストが安いと書きましたが、版代が高い場合があるため、総額で比較する必要があります。また、網点の掛け合わせもできませんので、写真などのカラー印刷はできません。
ここで疑問が出てくる方もいるかもしれませんが、シール印刷も樹脂版を使った凸版印刷なのに、なぜカラー印刷ができるのでしょうか。シール印刷機にも平圧凸版、凸版半輪転、間欠輪転、輪転などの種類があり、輪転と名前につくものはカラー印刷が可能です。
またデザインによっては、オフセット印刷でなければできないものもありますので、最適な印刷方式が分からない場合は、お気軽にお問合せください。
◎ダンボール印刷用のフレキソ版 | ◎ダンボールを印刷するフレキソ印刷機 | ◎ダンボールのフレキソ印刷限度見本 |
軟包装に適した「グラビア印刷」とは?
グラビア印刷とは、凹版印刷の一種です。パッケージ印刷におけるグラビア印刷は、主にビニール袋などのフィルム印刷が主流です。
版は、シリンダーと呼ばれる金属ロールの表面にメッキされたものを用います。図柄は、レーザー製版と彫刻製版の2種類があり、写真などはレーザー製版を用い、文字などのシャープな線が必要なものは彫刻製版を用いるなど使い分けをします。
グラビア印刷のメリットとデメリット(フィルム素材の場合)
メリット:緻密な印刷が可能
デメリット:版代が高い(特に、カラー製版)
デメリット:最低ロットが2,000m。10cm×10cmくらいの袋サイズだと、1万枚以上生産される。
グラビア印刷は、グラビア雑誌などにその名前が用いられているように緻密な写真印刷の代名詞でした。こうしたページのことをグラビアページと呼んでいましたが、現在はほとんどオフセット印刷で印刷されており、グラビアという名前は通称として残っているようです。
フィルム素材にするグラビア印刷も緻密な印刷ができますが、紙素材の場合と比べ、透けてしまうという問題があるため、濃度を出したいデザインの場合は注意が必要です。
また、フィルムに印刷する場合には、下地に白を印刷することや、透明な窓を残すなど、製版データの作成にはグラビア印刷特有のチェックポイントがあります。校正がとても大切ですので、デザインデータ入稿の際は、紙ベースによるチェックをお勧めしています。
は参考リンク:総武機械株式会社「グラビア印刷とは?」
印刷方式については以下のリンクもご覧ください。
投稿者:駒形 和彦