【化粧箱の強度アップ!】合紙(ごうし)とは?対応材質を紹介
ブログ
写真は板紙とダンボールを合紙したシート
目次
合紙(ごうし)とは、紙と紙を貼り合わせて箱の強度をアップする加工!
合紙は「ごうし」または「あいし」と読みます。
「合紙(ごうし)」と読む場合、2枚以上の紙を貼り合わせて、紙の強度を上げる加工です。紙の強度が上がることで、箱の強度も上がります。「合紙(ごうし)をする」という言い方をします。※下の写真は合紙(ごうし)の化粧箱です。
「合紙(あいし)」と読む場合は、数が一目で分かるように印刷物の間に紙を挟む加工のことです。「合紙(あいし)を入れる」という言い方をします。「間紙(あいし)」とも書きます。
ブロッキング防止のため、印刷紙1枚ごとに入れる用紙という意味もあります。しかし、現在では実際の作業においてこのような使い方はしていません。インキの性能も良くなっているため、乾きの悪い用紙の時でも板取りの枚数を少なくすることで1枚ごとの間紙は不要になっています。※下の写真の白い紙が合紙/間紙(あいし)です。
化粧箱製造における合紙(ごうし)を解説
合紙は、合紙機という機械で加工されます。サイズも大きく、横幅3メートル程度、長さ13メートル程度あります。
機構は、主に、給紙部、貼合部、圧着部の3セクションから構成されています。
◎表紙 給紙部(フィーダー) | ◎片面ダンボール 給紙部(フィーダー) |
◎貼合部 | ◎圧着部 |
合紙できる材質について表紙(おもてがみ)と裏紙(うらがみ)
ここでは、加工が可能な合紙の種類についてご説明いたします。
一般的な呼び方ではないかもしれませんが、合紙の表側の紙を表紙(おもてがみ)、裏側の紙を裏紙(うらがみ)と呼んでいます。当社では、以下の4種類を合紙加工しております。
◎(表紙)コート白ボール +(裏紙)片面ダンボール
◎(表紙)ファンシーペーパー +(裏紙)片面ダンボール
◎(表紙)ファンシーペーパー +(裏紙)コート白ボール
◎(表紙)コート白ボール +(裏紙)コート白ボール
合紙の表紙(おもてがみ)
表紙として可能な用紙は、主にコートボール270g以上の板紙です。
片面ダンボール合紙の場合、当社ではコート白ボール270gか310gにEF(約1.5ミリ厚)を貼り合わせることが多いです。サイズの大きい箱や強度が必要な箱は310gを使用します。
お酒などの箱については、高級感を出すため表紙にファンシーペーパーを使うこともあります。ファンシーペーパーと言えば、レザック、タント、マーメイドなどが有名ですね。あまり馴染みがないかもしれませんが、ハイチェックの利用実績もございます。
上記と同等の材質であれば合紙可能です。表紙は薄すぎるとシワが入るため、大体130kg程度の厚さの用紙を使用します。
下の写真は、レザックと片面ダンボールの合紙に箔押しを行ったものです。
合紙の裏紙(うらがみ)
裏紙として可能な用紙は、主に片面ダンボールとコート白ボールです。
◎片面ダンボールの場合
BF(約3ミリ厚)、EF(約1.5ミリ厚)、FF(約1ミリ厚)に対応しております。当社では、EF合紙の割合が最も多く、日本酒の箱でよく利用されます。四合瓶や一升瓶が入る箱は、大体EF合紙です。
FF合紙は、小さい箱で強度やクッション性が必要な場合に利用されます。当社の事例では、30×30×60(h)のサイズで実績がございます。この時の内容物はガラス瓶で、強度とクッション性が必要のためFF合紙をおすすめしました。
BF合紙の事例は少ないですが、タラバガニの肩を入れる箱の実績がございます。箱のサイズが大きく、EF合紙では強度が出せなかったため、BFを選択しました。BFは厚さが3ミリとかさばるため、保管場所も必要になります。運賃も割高になるため、設計等を工夫することで、できるだけEF合紙をおすすめするようにしています。
ダンボールの厚さについては、以下のページで詳しく解説しています。
◎コート白ボールの場合
箱のサイズによって変わりますが、裏紙として使用するコート白ボールは270g以上のものを使います。
「ファンシーペーパーの風合いを生かした箱を作りたいけど強度が足りない」などという場合にコート白ボールを合紙するということが多いです。表紙もコート白ボールの合紙は、店頭什器など、強度と細かい設計が必要な場合に行います。
コート白ボールについては、以下のページをご覧ください。
ダンボールを合紙すると見えてしまう「段目」について
合紙は表紙にダンボールの段目の跡が発生します。ダンボールの中芯に塗布されたボンドが表紙に浸透し、段目がみえるのですが、これを嫌うお客様もいらっしゃいます。そうした場合、コートボールの斤量を上げて、両面ダンボールを合紙すれば、多少改善します。
ただ残念ながら完全に段目を消すことはできません。材質を変えてテストしたこともあるのですが、段目にボンドが溜まるせいか、期待したほどの効果は得られませんでした。段目については、後ほど改めてご説明いたします。
合紙の表面処理加工や箔押し
合紙は、印刷加工をしたコート白ボールを貼り合わせる加工のため、プレスコートやPP貼り、箔押しなどといった特殊加工も可能です。先ほどの白い箱の写真は、レザックに印刷した後、箔押ししてから片面ダンボールを合紙したものです。
合紙の印刷(両面印刷も可能)
前項で述べたように、合紙は印刷したコート白ボールを貼り合わせる加工のため、4色カラー印刷や特色印刷も可能です。
合紙の印刷は、通常、表紙を印刷した後に、片面ダンボールなどを貼り合わせます。
しかし、板紙合紙で箱の裏面に印刷をする場合もあります。そのような時は、先に合紙を済ませてから裏面を印刷し、その後表面を印刷します。このような両面印刷は、裏紙がコート白ボールの場合だけ可能です(技術的には、片面ダンボール合紙でも裏面印刷可能ですが、かなりのロット数が必要になります)。
◎裏面印刷をした板紙合紙の箱 | ◎印刷後(表紙は「五感紙」を使用) |
合紙の目なり(縦目/横目)について
ここでは、EFダンボール合紙の目なりについてご紹介します。
ダンボール合紙は、材質の項目でもご紹介したとおり、段目があることが特徴です。箱にした時、この段目の方向が品質に大きな影響を及ぼします。
通常は、箱の高さ方向(のりしろ)に対し平行に段目をそろえます(縦目の箱)。こうすることで箱の強度が上がります。
しかし、段目をのりしろに対し平行にすることで、貼りズレという問題が発生します。この貼りズレは、抜型の罫線がダンボールの段目に負けてしまい発生するもので、現在のところ完全になくす方法は無く、同業他社も同様の問題を抱えています。当社の経験では、裏紙に固い材質を使うと貼りズレが発生しやすくなるようです。
貼りズレを防止するためには、のりしろに対し、直角の段目にします(横目の箱)。こうすることで、ダンボールの段目がきれいに折れるため、貼りズレは無くなります。
不良品を減らすため、横目の箱にしたいところですが、問題が一つあります。それは、フタがダンボールの段目に沿って折れやすくなってしまうことです。フタの開け閉めをすると、折れてしまうことがあるため、横目にする場合は注意が必要です。
縦目にするか横目にするかは、お客様の品質基準によります。縦目の箱が貼りズレするといっても全てではなく、ズレもわずかなため箱として使えないわけではありません。目安として、紙厚分の貼りズレは許容範囲とさせていただいております。
◎横目の箱(光っている部分の横線) | ◎縦目の箱(光っている部分の縦線) |
合紙の工賃について
合紙の工賃は、裏紙の材質によって異なります。
片面ダンボールは安く、コート白ボール合紙は高くなります。これは、ボンドの塗布面積の兼ね合いで決まるためで、片面ダンボールは塗布面積が少なくなる分、安くなるというものです。
そのほか、表紙が薄かったり、加工しにくい用紙の場合は高くなってしまいます。
合紙するとコストアップになり採算が合わない場合は、合紙をあきらめて箱の中にダンボールのパッキンを入れる方法もございます。スペシャリティーズやファンシーペーパーを使うことが多い化粧品の箱などは、合紙すると野暮ったくなってしまうこともあり、両面白のGFのダンボールをパッキンとして使用する例もございます。
価格については、合紙以外の方法で抑えられる場合もありますので、ご相談いただければ幸いです。
◎関連項目
投稿者:駒形 和彦