化粧箱の箔押し、エンボス加工、デボス加工など版や加工機の説明
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目次
箔押しとは?
箔押しとは
箔押しとは、金属の凸版(銅やマグネシウムなどの材質)を熱して、用紙に箔を圧着する加工のことです。用紙に圧をかけるため、箔押しされた部分はややへこみます。
箔押しは化粧箱やパッケージ、ラベルの他、グリーティングカード、書籍の表紙やカバー、名刺などにも使用され、印刷だけでは表現できない輝きは、特別感や高級感を演出します。
(この仕組みを利用した、紙に立体感を付ける「エンボス加工」、「デボス加工」とその仕組み、パッケージの実績は8章にて解説〈2023.11.15更新〉)。
箔押しの特徴
箔押しの特徴は、デザインにアクセントを加えることです。4色カラー印刷などで華やかなデザインを作るだけでなく、金箔や銀箔などを加えることで高級感がアップします。
こちらは化粧箱サンプルセットの中の箔押し化粧箱で、「印度風チキンカレー」の文字が金の箔押しです。サンプル請求受付中
コーヒー豆ギフト用化粧箱セット。 |
左のコーヒー豆ギフトの個装箱にも箔押し。 |
特殊加工サンプルから。 |
箔押しの種類
箔には、金や銀といったオーソドックスなものをはじめ、メタリックやホログラム、顔料箔といったものまで、様々な種類があります。近年、基本の金や銀以外にも、ピンクや水色など中間色や、淡い色調のバリエーションも増えてきました。(下記見本帳は村田金箔さんのもの)
箔押し見本帳 スタンダードメタリック色。艶あり、艶消しの他、右側にパールや透明、ホログラムがあります。
箔押し見本帳 スペシャルメタリックカラーホイル。右側半分は「シルキーカラーシリーズはパステル調をイメージした柔らかなマット仕上げで、見る角度による色調変化の少ない発色が特徴(村田金箔さんHPより引用)」とのこと。
箔押し見本帳 マットな質感の顔料箔(ピグメントホイル)
※画像のため実際と発色、光沢の強さは異なります。
箔版の種類
亜鉛版、マグネシウム版、銅版の3種類あります。
箔版(箔押しの版)左から銅板、亜鉛版、マグネシウム版
亜鉛版
現在ほとんど使われておらず、マグネシウム版に切り替えられています。
銅版
マグネシウム版より高価ですが、熱伝導率が高く、箔押しのムラが出にくいため品質が安定します。1ミリ以下の線が密集しているような細かいデザインの場合、銅板をおすすめします。
マグネシウム版
銅板と比べると材質が柔らかく耐久性が劣りますが、安価ですので小ロットの製品に適しています。箔のカスが細かな線の間に入り込み、版が破損してしまうこともありますので、材質選びは、デザインによって決定します。
箔押しの機械
箔押しの機械は、主にアップダウンタイプ、シリンダータイプ、プラテンタイプの3種類に分けられます。
アップダウンタイプ
アップダウンタイプとは文字通り、箔版が上下して、箔押しをする機械のことです。箔押しするシートを手作業で抜き差しするため、1,000枚程度までの小ロットに向いています。
シリンダータイプ
シリンダータイプとは、自動給紙機構を用い、筒状の胴に用紙を送り、箔押しをする機械のことです。絵柄に対して、均一に圧がかかるため、微細なデザインの箔押しも可能になります。自動給紙のため1時間当たりの生産量も多く、1000枚以上の大ロット向けの機械です。
プラテンタイプ
プラテンとは、平らな金属板を版面に押し付ける機械のことです。版面のサイズがA3程度と小さいですが、日本酒のラベルやカード類などの箔押しに優れています。自動給紙機構も備え付けられており、省力化されています。
箔押し機のセッティングについて
箔押し機は、熱した版を使い、箔を紙に転写するというシンプルな機械で、調整できる箇所も「熱板の温度調整(110度から130度程度)」と「圧着時間(0.2秒から0.5秒)」の2か所だけです。そのため、職人技のような地道な調整が必要となります。ここからは、上記箔押し機のセッティング手順をご紹介します。
アップダウン機のセッティング手順
版を熱板に取り付けます。ボンディングテープを使用。
針ネジの土台を使い、用紙の位置を決めとムラとり
圧着時間を設定。
作業開始。
プラテンのセッティング手順
版を熱板に取り付け
用紙を給紙部にセット
位置決めとムラとり。アテとハリで位置決め
量産開始。
箔押しの化粧箱実績集
ここからは箔押しの化粧箱実績をピックアップします。金箔や銀箔などの煌めきも魅力ですが、透明や黒などの箔を使用すると化粧箱の表情がガラッと変わりますのでぜひご覧ください。
金の箔押し化粧箱
まずは定番ながらも高級感がある「金の箔押し」を使用したコーヒー豆のギフトセット用化粧箱と、
こちらも続いて金の箔押しの栄養ドリンク用化粧箱です。金の箔押しは華やかな印象に仕上がります。
銀の箔押し化粧箱
続いてこちらは「銀の箔押し」を使用したアスリート向けのサプリメント用化粧箱。銀の箔押しは、スタイリッシュ、本格志向といった、金の箔より少し落ち着いたイメージで高級感を表現するのに選ばれています。
黒の顔料箔、パール箔、メタリックピンクなど一味違う箔押しの化粧箱
ここからは、変わり種の箔押し化粧箱です。金や銀の豪華な印象の箔押しとは雰囲気がガラッと変わり、こだわりを感じさせる仕上がりになるのが特徴です。シンプルなデザインの方が、箱の材質と箔押しの組み合わせを引き立ててくれます。
こちらのシックな高級感のある黒い化粧箱は、「黒の顔料箔」を使用した工具用の化粧箱。
「パール箔」を白い紙に箔押しした箸置き用化粧箱です。見る角度によってほのかに光るパール箔は、繊細さや洗練さを伝えます。
近年、箔押しの色のバリエーションも増えてきました。こちらは「メタリックピンクの箔」を使用した食品用ギフト箱。ブランドカラーや製品イメージに合わせてお好みの色を。
〈以下2023.11.15更新〉
エンボス加工とは?仕組みの解説と化粧箱実績
エンボス加工、デボス加工とは
「エンボス加工」「デボス加工」とは、金属と樹脂の版で紙を挟んで圧力をかけ、立体感(凹凸 おうとつ)を付ける加工です。
- エンボス加工……紙の表面に版の形が浮き出る(凸)ため、「浮き出し加工」とも呼ばれます。
- デボス加工………その反対に、デボス加工は絵柄がへこみます(凹)。
こちらは「エンボス加工」を使用した美容液の化粧箱です。ロゴ部分(英字部分)を浮き出たせています。
エンボス加工の仕組み
上記の美容液のパッケージの樹脂版、金属版で「エンボス加工」の仕組みをご紹介します。
左奥から、エンボス加工でロゴを表現した化粧品パッケージ、樹脂版、金属版です。樹脂版と金属の版でロゴや絵柄などを浮き出させます。
金属版。少し見えづらいですが、絵柄が逆向き(読めない向き)で凹んでいます(凹版 おうはん)。こちらが紙の上側にセットされます。
樹脂版(凸版 とっぱん)。こちらは絵柄が読める向きで浮き出ているのが見えますでしょうか?紙の下側にセットされます。
金属製の凹版を上に、樹脂製の凸版を下にして箔押し機にセットし、紙を挟んで圧力をかけて加工していきます。
〈2023/11/30更新〉
エンボス、デボス加工をショート動画で解説
エンボス加工、デボス加工の図解をYoutubeショート動画にまとめました!
デボス加工は、版の凹凸の向きがエンボス加工と逆になります。金属製の版が凸版(絵柄が読める向き)、樹脂製の版が凹版です。
※デボス加工では受けの樹脂版を使わない場合もあり(空押し加工と言います)、樹脂版の有無で仕上がりが異なります。
参考:ツジカワ株式会社HP 「エンボス加工・デボス加工について」、株式会社グラフィック社「デザインのひきだしvol.46 箔押し&箔加工編」
箔押し加工まとめ
さてここまで箔押しの色、版、箔押し機、そしてエンボス加工など様々ご紹介してきました。種類が多くてどれが良いのか迷ってしまうかもしれませんね。「この色の箔で箔押しを使いたい」「箔押しを入れてプレミアムな化粧箱を作りたい」など、そんなときはぜひお気軽にご相談ください。お客様のイメージに合うご提案でお手伝いいたします。またお手元で箔押しの仕上がりを確かめたい方は、ぜひこちらのサンプルセット請求をおすすめします。送料のみのご負担にて、仕様や形状、印刷仕上がりのサンプル化粧箱20点以上をセットでお届けしています。