《決定版》お酒の箱について〜6つの基本と事例〜
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お酒の容器には様々な材質と形状があります。
それぞれのお酒の特徴に合わせたものから、飾って楽しめるようなデザイン性の高い形状まで登場してきました。
お酒の箱は多種多様な容器に対して、輸送に耐える材質選びから、重量で底が抜けないような設計にしたりと様々な経験や技術を用いて作られます。
そこで今回は、お酒によく使用されている容器、「瓶」に焦点を当て、瓶の形状から代表的な箱の形状などお酒の箱を作るにあたっての基本的な部分を説明していきます。
目次
基本1 お酒の箱とは
お酒には缶や紙パック等たくさんの容器がありますが、最も一般的な容器といえば瓶ではないでしょうか。
瓶は密封性が高いため長期保存に向いており、特に日本酒は紫外線にも弱いため光を通しにくい茶色や緑の瓶とは切り離せません。
ですが瓶は衝撃に弱いため、輸送の際は瓶が割れないような状態にする必要があります。
お酒の箱には壊れやすい瓶を保護する大切な役割があり、しっかりとした設計がされていないと瓶が動いて破損する原因になってしまうことも。
また、お酒の箱には内容保護以外にもパッケージとして、お酒の特徴を表現するようなデザインがされていたり、高級感を出すために箔押しをしていたりと様々です。
パッケージにこだわることで、お客様が商品を選ぶ際の手助けができるようにもなります。
基本2 瓶の形について
化粧箱の詳しい説明を始める前に、化粧箱屋ドットコムで箱の制作数が多い日本酒やワインに関わる瓶について、表で簡単に説明していきます。
実際に作りたいお酒の瓶の参考としてご覧ください。
瓶の形状 | 容量 | 特徴 |
一升瓶 | 1800ml | 日本酒といえばこれという大きさの瓶です。 日本酒に限らずワインやウイスキーに使用されていることもあります。 |
四合瓶 | 720ml | 一升瓶よりひと周り小さい瓶で、日本独自のサイズのため 日本酒や焼酎に多く使用されます。 |
二合瓶 | 300~360ml | メーカーによって内容量が違います。 持ち運びが楽なサイズです。 |
一合瓶 | 180ml | 一番小さい飲み切りサイズの瓶。 冷蔵庫で保管しやすいサイズです。 |
ボルドー型 | 750mlのものが多い |
熟成させたワインを入れることが多い瓶で、 |
ブルゴーニュ型 | 750mlのものが多い | ボルドー型はいかり肩ですが、こちらは首から胴にかけて肩がなだらかなタイプの瓶です。 |
スパークリング型 | 750mlのものが多い | ブルゴーニュ型と似て肩がなだらかですが、 炭酸が入るため他のものより瓶自体が厚くなっています。 |
基本3 お酒の箱に多く使用される代表的な形状
お酒の種類に合わせた箱の形状を選ぶことも重要です。
例えば日本酒を贈答する時には「高級感の出るギフト箱」というようにお酒をどのように使うかでも箱の選択肢が増えます。
ここでは瓶をいれる基本的な箱の形状について説明します。
ギフト箱(身フタ式/C式)
1本から入れられる形状です。
フタと身箱が分かれているため、開けた際の特別感を演出できます。
高級感のあるお酒を入れていることが多いです。
また、画像のようにフタと身箱に額縁がついているものは4層になるため、上下だけでなく、横からの衝撃にも強くなります。
地獄底
1本で入れることが多いですが、仕切りをつけることで複数本セットにできる形状です。
底面を組み立てて使用します。
デザインと後述する紙の材質次第で色々なお酒を入れられる箱です。
ワンタッチ底
前述した「地獄底」と同様に、仕切りをつけることで複数本セットにできる形状です。
底面が「地獄底」と似ていますが、底が糊付けされているため組み立てを楽に行えます。
デザインと後述する紙の材質次第でどの種類のお酒も入れられる箱です。
〈ワンポイント〉
ここで紹介した化粧箱ですが、発送する際、化粧箱に入れるだけでは運送会社さんに運んでもらえないことがあります。
輸送したい場合には、段ボール等でできた外箱にいれて発送します。
それぞれの運送会社さんでも、瓶発送用の箱(1〜2本入れ)を販売しているので、そちらを利用することも可能です。
化粧箱屋ドットコム内のコラムにて「化粧箱と外箱の違い」を説明しておりますので、ぜひご覧ください。
基本4 瓶に合わせた台紙や仕切り
お酒の瓶の種類に合わせた化粧箱も大事ですが、中身を衝撃から守る台紙や、商品同士がぶつからないようにする仕切りもお酒の箱になくてはならない大事な要素の一つです。
例として、よく使用されるギフト箱には、瓶の首や胴の形に沿うような設計をした台紙(枕)を使用します。
地獄底やワンタッチ底には箱と一体になった首押さえを付けることが一般的です。
地獄底やワンタッチ底に使用される首押さえは、横からの衝撃に弱い箱の側面を潰れにくくしたり、瓶の揺れを少なくして破損を防ぐ効果もあります。
2本以上入れる場合や他の商品とセットで販売する際は、それぞれが当たらないような仕切りが必要になってきます。
台紙(枕) | 実際に瓶を入れた様子 |
首押さえ | 実際に瓶を入れた様子 |
化粧箱屋ドットコム内の台紙の設計ページでドレッシング3本セット、ガラス瓶3本入れなどの設計ワンポイントを説明しています。
瓶を入れる以外の箱や台紙も解説していますのでぜひご覧ください。
仕切りと箱を一体化させるなど、設計次第でコストを抑えることもできますのでお気軽にご相談ください。
基本5 お酒の箱によく使用される紙の材質
お酒の箱は紙製であることがほとんどですが、紙の材質を決める基準は瓶の重さです。
薄い紙製の化粧箱に一升瓶を入れると箱の底が抜けたり、瓶の破損原因となってしまいますので、材質選びはお酒の箱を作る上で重要な項目の一つとなっています。
ここでは一般的に使用される用紙について説明しています。
コート白ボール
コート白ボールは、片面が白く、裏面と中層(紙の断面)がグレーの一般的に使用される板紙です。
軽めの瓶(二合瓶くらいまで)を入れることができます。
同じ白でも製紙メーカーによって色味が違うため、好みに合わせたものをお選びいただけます。
片面コートカードB
片面コートカードBは、両面白く、中層(紙の断面)がグレーの紙です。
軽めの瓶(二合瓶くらいまで)を入れることができます。
両面が白いため、箱の内側へ印刷することができます。
合紙(ごうし)
合紙とは、紙同士を貼り合わせて箱の強度をアップさせる加工のことです。
表面に印刷適性のある「コート白ボール」、裏面に強度を持たせるための片面ダンボールを貼り合わせて強度を高めつつ、通常のダンボールでは出せない美粧性を持たせることもできます。
合紙は耐久性に優れるため、どの重さの瓶でも入れることができます。
日本酒の箱におすすめな和紙のファンシーペーパーなど、特殊で個性的な紙も片面ダンボールなどと貼り合わせることが可能ですので、詳しくはお問い合わせください。
基本6 お酒の箱によく使用される表面処理
紙でできた箱は対策をしないと水分に弱くふやけてしまったり、輸送時の振動で箱同士が擦れ、傷ができてしまうことがあります。
特にお酒は、要冷蔵のものなど幅広い温度管理になるので結露等で箱が傷んでしまうことも。
それらを防ぐために重要なのが表面処理です。
表面処理には印刷面に塗布するニスや、圧着するPPなどがあり、それぞれ機能や見た目が変わってきます。
また、お酒の箱は高級感を求められることが多いため、箔押しをして箱の美粧性を上げることも可能です。
◎化粧箱屋ドットコム内のコラムにて「基本的な表面処理、ニス系(op・マット)、PP系(グロス・マット)」を説明しています。
お酒の化粧箱で高級感のある黒い箱を目にするかと思いますが、
黒は傷が目立ちやすいため、表面処理が不可欠です。
以下のリンクでは、黒い化粧箱を作るにあたって気をつけたいことなどを説明しています。
箔押しの種類から、実際の箔押し機のセッティング方法まで詳しく説明しています。
商品に合わせた雰囲気作りの参考にご覧ください。
以下のリンクは、特殊な表面処理である、ベルベットマットPP、梨地PP、和紙PPについて説明しています。
どれも耐水・耐傷性が強く、見た目や手触りも個性的です。
オリジナル お酒の箱の形状
化粧箱屋ドットコムで制作したオリジナル形状の事例をご紹介します。
どれも特徴的なため、ぜひ参考になさってください。
日本酒4本セット
日本酒が4本入るセット用の化粧箱です。
それぞれの瓶が動かないように首押さえで固定しています。
父の日用日本酒ギフト箱
ギフト箱の形状で、中に台紙を入れビンを固定しています。
この事例のように、おつまみをセットにするなど台紙の設計次第でビン以外も入れることができます。
合紙 六角形カートン(日本酒)
合紙の六角形の化粧箱です。
ビンの大きさに合わせて設計することで四角以外の形状にすることも可能です。
詳しくはご相談ください。
金色に輝く日本酒の箱
形状は1本入れのワンタッチ底ですが、印刷を工夫することで金色にすることができます。
箔押しもプラスすることで高級感を出せます。
地ビール6本用 地獄底キャリーケース
地ビールを6本入れるための地獄底キャリーケースです。
少し変わった形状で、持ち運びしやすいよう箱の天面に取っ手がついています。
また、底面を変形させて仕切りを箱と一体化させています。
小判穴つきキャリーケース
化粧箱ではありませんが、取っ手のついたキャリーケースです。
お酒をプレゼントする際に特別感を出すことができます。
日本酒の桐箱を入れる外装
直に瓶を入れるための箱ではなく、桐箱入りの日本酒を入れるための化粧箱です。
見ることが少ない観音開きの形状を採用し、開けた際に桐箱の正面がしっかり見えるような箱となっています。
まとめ
お酒の箱について説明してきました。
お酒の箱は中に入れる瓶が壊れやすいということもあり、化粧箱制作時には必ず瓶の実物をお借りして形状にしっかり合わせた設計をいたします。
また、ご要望に合わせたデザインやご提案も承っておりますので、お酒の箱を作る際は、ぜひ化粧箱屋ドットコムにお任せください。
※箱の種類は、紙の材質や現物のビンの形状・重量によって、できないものもありますのでご了承ください。
化粧箱のデザイン制作の際は、こちらのコラムをご参照ください。