《黒い化粧箱の印刷》リッチブラック、スミベタとは?
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「黒1色の化粧箱を作りたい」と考えた場合、どんな色指定を思い浮かべますか?
『黒の色指定』には「スミベタ」「リッチブラック」「4色ベタ」などいくつか種類があり、それぞれに特徴やポイントがあります。
この記事では、黒1色の化粧箱における『黒い色指定』のポイントや注意点をご紹介します。特色1色の化粧箱の場合にも役立つポイントですので、参考になれば幸いです。
目次
『黒の色指定』の種類と違い
スミベタ
色指定:K100%
最も一般的な黒の色指定。印刷時のインキの盛り量によりますが、「真っ黒」「漆黒」をイメージした場合、やや物足りないと感じるかもしれません。
リッチブラック
色指定:K100%+CMYを各30〜50%程度
スミ(K)にCMYを掛け合わせて濃さを出す色指定。「赤味」「青味」などニュアンスをプラスできます。
4色ベタ
色指定:CMYKすべて100%
濃い黒にはなりますが、インキ総量が多いため印刷時のトラブルを招きやすい指定。印刷物につけるトンボ(トリムマーク)以外での使用は推奨されていません。
特色インキの黒
色指定:特色1色100%
1色で濃度や色味を表現できる。通常のスミ(K)とは異なるため、使用を希望する場合は印刷会社に相談するとよいでしょう。
リッチブラックとスミベタ指定のポイント
リッチブラック推奨値と4色ベタについて
リッチブラックをご希望の場合、当社の推奨値はC30M30Y30K100です。
黒ベタデザインを濃く印刷したい場合の入稿データでよく見かけるのがリッチブラックです。同様の目的で4色ベタが指定されている場合もありますが、4色ベタには問題点があります。
リッチブラックと4色ベタでは前述のとおりCMYの%の違いですが、4色ベタはインキ総量が400%となるため、インキの乾きが遅くなり裏付き(裏移り)などの印刷トラブルにつながります。そのため、当社では4色ベタ、またはそれに近い数値のリッチブラックについては、不可としております。
ちなみに、通常のオフセット印刷の場合、トラブルなく印刷できるインキ総量は300%程度までと言われています。
【入稿前にCheck!】
デザイン制作時のプリンタ確認で「黒を濃く出力する」ためにリッチブラックや4色ベタにしている場合は、印刷に必要な数値かご確認ください。必要に応じて、推奨値のリッチブラックまたはスミベタ(K100%)にして入稿してください。
こんな時にはスミ100%で!
「黒地に白ヌキ要素がある」「黒の面積が小さい」などの場合はスミベタ(K100%)をおすすめします。
なぜなら、色を重ねた印刷は見当ズレが起きた場合に白地との境目に色味を感じてしまうからです。
細かな文字や模様など白ヌキの要素がある場合は特に注意が必要です。ご要望があれば慎重に見当合わせを行いますが、シャープな仕上がりにはスミ100%がよいでしょう。
※上図は分かりやすいようにスミベタ(K100%)と4色ベタ(CMYKすべて100%)を比較したイメージにしています。
特色インキの黒もご指定いただけます。
通常のスミ(K)ではなく、以下のような特色ブラックもご指定いただけます。
下記のような特色インキの黒は1色で『濃い黒』を表現できるため、指定されるお客様もいらっしゃいます。特色の黒インキをご希望の場合はお知らせください。
株式会社 T&K TOKA デビルブラック/サタンブラック
女神インキ工業株式会社 スーパーブラック
DICグラフィックス株式会社 マット墨
【注意】RGBデータの黒
元データがRGBのオブジェクト(バーコードやQRコードが多い)では、CMYKに変換される時にスミ100%になりません。色指定が4色ベタに近い状態になるため、スミ100%に修正しましょう。
RGBからCMYKに変換する際の注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。
スミ100%でも、リッチな仕上がり。
インキの盛りに定評があります。
チラシやパンフレットのような通常の印刷物と化粧箱の印刷ではインキの盛りが異なります。特に当社は、お客様より「インキの盛りがいい!」と言われるほど、仕上がりを重視しインキをしっかり盛って印刷しています(インキを盛ることで発色が良くなります)。
お客様の案件ごとに印刷するため、色やデザインなど印刷内容に合わせてインキの盛りを調整。これはオーダーメイドの化粧箱だからできるワザとも言えます。特に「特色印刷」について思ったような発色が出なくてお困りの方は是非お問い合わせください。
黒や濃い色には2版使ってムラなく印刷
スミベタや黒の特色の場合、紙粉によるピンホール(ごく小さな色のヌケ)や、色ムラが目立ちやすいという悩みがあります。
これを解決するのが同じ色の2度刷り(2版使用)です。同じ色を重ねて印刷することで、ピンホールや色ムラを感じさせない仕上がりを実現しています。2度刷りを行う場合には単に同じ版を2枚使う訳ではなく、印刷内容に合わせて調整した版を使用します。
調整の例としては、以下のようなものがあります。
◎文字など白ヌキのデザイン要素がある→白ヌキが細らないように2版目の白抜き要素を太らせる
◎印刷内容にバーコードがある→バーコードが太くならないよう部分的に2版目から外す
ちなみに、2版使用する印刷方法は紺やエンジなど暗めで濃い色合いの特色などでも用いられています。
スミアミ80%は、ほぼ100%になる!?
しっかりとインキを盛る化粧箱の印刷では、「黒い箱にスミアミ(平アミ)の地紋」や「スミ80%〜100%のグラデーション」のようなデザインで濃度の差を感じにくくなる場合があります。印刷の段階では見えていても、乾燥後やPPなどの表面処理の後に見えなくなってしまった例もあります。
また、使用する材質などによってはインキの盛りに関わらず上記のようなことが起こります。これは、デザイン制作時のモニターやプリンターの環境と、実際の印刷物の仕上がりや見え方が同じではないために起こります。
プロの色調整でイメージどおりの仕上がり
化粧箱屋ドットコムでは、お客様の案件ごとに色見本(刷り上がりイメージ)に基づいた色調整を行なっています。
色調整を行う場合、製版データを作成する制作スタッフと印刷現場のオペレーターの間で打ち合わせを行い、調整の程度や内容を決定しています。そうすることで、しっかりとしたインキの盛りとイメージどおりの刷り上がりを両立しています。
まとめ
化粧箱のデザインや印刷における黒の指定についてご説明しましたが、ポイントは以下のとおりです。
◎CMYK全て100%の4色ベタは不可
◎リッチブラックの色指定はC30M30Y30K100%
◎白ヌキの文字や細かい絵柄がある時はスミ100%
◎特色ブラックも指定OK
化粧箱屋ドットコムではデザインや入稿データを作る際のアドバイスも行なっております。ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
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